弁護士が解説。敷⾦が返ってこない!フランスでの法的対応とは?

文責:弁護士 宮田晶子

フランスにおいて不動産を賃借する際、借主は、通常、敷⾦(dépôt de garantie)と呼ばれる保証⾦を貸主に⽀払います。この⾦銭は、賃貸物件の損傷や家賃・諸費⽤の未払いが発⽣した場合に備えるためのものであり、賃貸借契約が終了した後、特段の問題がない限り、借主に対して全額返還されることが原則です。

しかしながら、実際には、貸主が正当な理由なく敷⾦の返還を拒否したり、過剰な修繕費等を名⽬として⼀⽅的に差し引いたりする例が数多く⾒受けられます。こうしたトラブルは、外国⼈居住者にとって特に対応が難しく、泣き寝⼊りを余儀なくされるケースも少なくありません。

本稿では、フランスの法制度における敷⾦返還のルールを明確にした上で、実際によくあるトラブル事例とその具体的な対応策について、法律実務の観点から解説いたします。

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目次

1.敷⾦返還に関する法的枠組み

敷⾦は、フランスの住宅賃貸において貸主が借主から保証として受け取る⾦銭であり、その⾦額は共益費を除いた⽉額賃料の1か⽉分(家具付き物件の場合は2か⽉分)を超えてはならないとされています。

賃貸借契約終了後、借主が鍵を返却した⽇を起点として、賃貸物件の状態に問題がない場合は1か⽉以内に敷⾦全額を返還、問題がある場合(例えば損傷等)は、最⼤2か⽉以内に返還される義務があります。

返還可否の判断において最も重要となるのが、État des lieux(エタ・デ・リュー)と呼ばれる⼊退去時の物件状態の記録書類です。この書⾯により、物件の損傷の有無、経年劣化との区別が法的に証明されます。

2.返還を巡るトラブルと具体的な対応⽅法

(1)貸主が敷⾦を期限内に返還しない場合

まず、鍵の返却⽇から法定期間(1〜2か⽉)を経過しても敷⾦が返還されない場合、内容証明郵便(Lettre recommandée avec accusé de réception)にて正式に返還請求を⾏うことが望まれます。
請求書⾯には以下の内容を明記します:

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